二人の娘
体内にアンモニアが多いということは良いことではない。健常な人の体内ではアンモニアを尿素に変え無毒化している。アンモニアを尿素に変えるには5段階を経る。2段階目の生成物はシトルリンというアミノ酸の一種。3段階目にはアルギノコハク酸シンターゼという酵素により、次の生成物アルギノコハク酸に変えられる。二女はこのアルギノコハク酸シンターゼという酵素が無いか、または働きが悪く次の生成物が作れなかった。【シトルリンが体内に蓄積される高シトルリン血症】常染色体劣性遺伝による先天的障害。高アンモニアは脳に障害を発生させた。
病名が判断されるまでに時間を要したからでもあるが、生まれてから6年間殆ど病院で過ごし、家に帰ってもすぐに救急車で運ばれた。母がドナーとなり部分肝移植をした結果は良好で、17歳になった今は身体的な問題はほぼ無くなった。私の娘となったのは小学校4年生の時。その頃は毎月検査のために一緒に筑波大学病院へ行っていたが、今は年1回で良くなった。
軽度の知的障害が残った。妻の希望により小学校中学校は普通学級に入れた。私はある本を読まされた。同じように普通学級に入れたことを絶賛する本であった。しかしながら「親の対面なのでは?」という疑問も払拭出来ないでいた。案の定、中学になると学校の成績というプレッシャーもあったように思うし、他の生徒とのコミュニケーションにも少なからず問題があったようでもある。二女の成績は殆ど最下位であり、体力的にも劣っていたので、何を褒め、元気付け、勇気付けてやるのかに苦心した。
今は、養護学校高等部の2年生になった。手厚い指導を受け、数の概念の理解が欠しいということ以外普段の生活に何ら支障はない。
長女は海外留学の話がちらほらと出ているらしい。今日、手紙が届いたので開けてみるとパスポート申請の用紙。(俺が行きたいよ)
悩みでもあり、喜びでもあり....。
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